発達障害の働き方と暮らし ~障害者雇用・一人暮らし・仕事の工夫~

当事者の体験談だけではなく、採用・人事・労務に携わった経験も踏まえ、「なぜそうなるのか」を分かりやすく解説します。

障害者雇用「私の障害について」の書き方|採用担当経験者が見るポイント【応募書類③】

前回は、障害者雇用の職務経歴書の書き方について紹介しました。

hataraki-kurashi.hatenablog.com

今回は、障害の特性や必要な配慮をまとめる「私の障害について」の書き方を紹介します。

私自身、障害者雇用での転職活動でこの書類を作成しました。また、採用担当として障害者雇用の応募書類を見た経験もあります。

その両方の経験から、「何を書けば、必要な配慮が会社に伝わるのか」を考えていきます。


■ はじめに|「私の障害について」は何のために書く?

「私の障害について」は、障害そのものを詳しく説明するための書類ではありません。

大切なのは、

  • 仕事をするうえで何に困るのか
  • 自分ではどう対処しているのか
  • 会社にどんな配慮をお願いしたいのか

を具体的に伝えることです。

採用後に上司や一緒に働く人が読む可能性もあります。

そのため、障害に詳しくない人が読んでも必要な配慮が分かり、本人と会社で「どうすれば働けるのか」をすり合わせられる書類を目指します。


障害の説明書にはしない

たとえばADHDだからといって、一般的な特徴や診断基準、詳しい生育歴や病歴まで書く必要はありません。

同じADHDでも、仕事で困ることや必要な配慮は人によって違います。

■ 採用担当者の目線

「ADHDなので忘れっぽいです」だけでは、仕事への影響が分かりません。

複数の内容を一度に口頭で指示されると、一部を忘れることがあります。

など、仕事で実際に何が起こるのかを具体的に書くと伝わりやすくなります。


障害概要は「現在の状態」が分かるように書く

私なら、基本情報として次の4つを入れます。

  • 診断名
  • 障害者手帳の種類・等級
  • 通院頻度・曜日
  • 現在の状態

通院については、頻度だけでなく曜日も書くことをおすすめします。

■ 採用担当者の目線

確認したいのは、通院のために勤務日の調整が必要なのか、現在の体調が安定しているのかという点です。

通院頻度や曜日、現在の状態が分かるようにしておくと、働き方を考えやすくなります。


障害の経緯は必要な場合だけ書く

障害が分かった経緯や発症した経緯は、必須ではありません。

ただし、働き方や配慮を考える材料になる場合は、簡単に書いてもよいでしょう。

たとえば、

前職で業務量が増え、長時間勤務が続いたことで体調を崩し、適応障害と診断されました。

などです。

■ 採用担当者の目線

仕事をきっかけに障害を発症した場合は、何が負担になったのかも気になるところです。

自社でも同じ状況が起こる可能性や、必要な配慮を考える材料になります。


「特性・自己対処・配慮事項」はセットで書く

ここは、私が特に大切にしている部分です。

「特性」「自己対処」「配慮事項」はセットで考えます。

たとえば、

特性

複数の内容を一度に口頭で指示されると、一部を忘れることがあります。

自己対処

メモを取り、復唱して確認しています。

配慮事項

重要な指示は、メールやチャットなど文字でも残していただけると助かります。

何に困るのか → 自分ではどう対処するのか → 会社には何をお願いするのか

まで書くことで、必要な配慮が具体的になります。

「電話対応が苦手です。配慮をお願いします」だけでは、会社側も何をすればよいのか分かりません。

自分でできる対処を考えたうえで、それでも難しい部分を配慮事項として伝えます。

■ 採用担当者の目線

本人が自分の特性と対処方法を理解していれば、会社側も対応を考えやすくなります。

場合によっては、「その方法は難しいですが、別の方法なら対応できます」と会社側から提案することもできます。


仕事に影響しない特性まで書かなくていい

障害の特性をすべて書く必要はありません。

自己対処によって仕事に問題がないレベルまで対応できていることは、基本的には書かなくてよいと私は考えています。

採用する側が知りたいのは、実際に働くうえで会社側が知っておく必要があることです。


完成したら複数人に見てもらう

完成したら、就労移行支援の支援員やハローワークの職員など、第三者にも見てもらうことをおすすめします。

できれば、自分のことをあまり知らない人にも、

この書類を読んで、どんな配慮が必要な人なのか分かるか?

を確認してもらいましょう。


まとめ|会社と「どうすれば働けるか」をすり合わせる

「私の障害について」で伝えたいのは、

  • 現在どのような状態なのか
  • 仕事にどのような影響があるのか
  • 自分ではどこまで対処できるのか
  • 会社には何をお願いしたいのか

ということです。

特に、「特性・自己対処・配慮事項」をセットで考えることが大切です。

「ここまでは自分で対応できます。それでも難しい部分は助けてください」と具体的に伝えることで、会社側も必要な配慮を考えやすくなります。

次回は、「私の障害について」の具体的な記入例です

フルタイム勤務の場合と、短時間勤務・定期的な通院が必要な場合の2パターンを紹介します。

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